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長所を重視する態度は、運営者にこそ求められるものです。これまでは、あえて厳しく教えるという態度が一般的でした。しかしそこには、多くの誤解を孕んでいたのです。人間というものは往々にして、長所よりも短所のほうが目についてしまいます。そのため、きちんと真面目に仕事していようと、叱責する理由は必ず見つかるものです。

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それでもついてくる部下はいるため、これを社員教育の成果であると、運営者は錯覚しがちです。実際には、長所を重視しない人のもとからは、多くの人間が見切りをつけて去ってしまいます。残るものは、余程タフであるか、人に取り入ることがうまいだけの人物です。つまり、短所をあげつらって叱り飛ばすようなやり方は、単に自分好みの人間を選別しているに過ぎません。

これまで、長所を重視しない社員教育がまかり通っていたのは、日本の労働人口が多かったことによります。

たとえ9割の人間が仕事を放棄したとしても、1000万人の1割が残れば100万人です。一方、現在は少子高齢化が進み、若者の総数自体が激減しています。向こう30年間で、日本の総人口は4000万人減るという試算もあるほどです。

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これでは、9割が去ってしまうような方針をとる限り、会社運営は成り立たなくなります。これはすでに実例として現れており、厳しく接するだけだった職人たちは、後継者不足で壊滅の危機を迎えています。

現代の運営者は、労働者そのものが貴重な人材であることを考慮しなければなりません。

同時に社員自身も、自他共に長所へ目を配ることが大切です。失敗体験ばかりを気にすれば、脳内のホルモンバランスが崩れ、心身に不調をきたします。自らの得意分野を重視し、小さな成功を積み重ねていくことで、ストレスに脳となっていくのです。

そのような人が増えれば、職場の雰囲気も向上し、顧客の目も変わっていきます。その上で注意するべきところは、本人の前できちんと指摘していくべきです。陰口は相互不信を招いてしまいますので、お互いに戒めていきましょう。